慢性痛がスーッと消えていく歩き方があった!認知症予防も期待できる魔法の運動とは?
痛みの専門家•伊藤和憲先生が伝授する「痛みのセルフケア」<1>
◇骨盤が正しい位置に戻らないと痛みは繰り返す
膝に痛みを抱えている人が、湿布を貼ったり、薬で痛みを抑えたりと、膝の治療だけをしても、膝の痛みが完全に消えない理由は、この骨盤のゆがみと関係しているかもしれません。なぜなら、膝の痛みを治療することで一時的に改善したとしても、すでに骨盤がゆがんでいることから、いずれは再び膝まわりの筋力に負荷がかかり、膝の痛みがぶり返してしまうからです。骨盤が正しい位置に戻らなければ、同じような症状が何度も起こるという悪循環になるのです。
足を5センチ高くして歩くには、体の重心線が中央になければ歩けません。
骨盤が前傾しているタイプの人は、体が前かがみになっているので足が上げづらく、5センチ上げるには骨盤を後傾させることが必要です。逆に骨盤が後傾しているタイプの人は、5センチ上げると、体がふんぞり返ることになるため、重心を前にすることが大切です。さらに、骨盤が左右どちらかに傾いている人は、足を上げると骨盤の位置が左右で違うため、足の上げる位置にも左右差が生じます。そのため、左右の骨盤を平行にして歩くよう意識するようになります。
◇魔法の運動「足を5センチ高く上げて歩く」
足を5センチ高く上げて歩くということは、他の運動でいえば、「踏み台昇降」や「階段昇降」「足首におもりを巻く」と同様の効果をもたらしてくれます。
また、足を5センチ高く上げるには、骨盤前面から膝にかけて伸びる筋肉「大腿四頭筋」や、脊柱・骨盤と大腿骨をつなぐ「腸腰筋」を使わなくてはなりません。
特に「腸腰筋」は、代謝効率が高い筋肉なので、この筋肉が柔らかく太いほど代謝がよく、硬く細いほど代謝が悪いといわれています。そのため、5センチ高く歩いて「腸腰筋」が鍛えられれば、代謝がよくなってダイエット効果が促進されます。
さらに「腸腰筋」が太いほど認知症になりにくいという研究もあるため、認知症予防も期待できるのです。
5センチ高く足を上げて歩くということは、病気を治し、代謝を上げ、認知症をも予防する魔法の運動なのです。
『慢性痛は自分で治せる!』(KKベストセラーズ 1月20日刊行予定)
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